生成AIが工業的に感じる
ChatGPTが世に出たときの汎用AIの可能性に胸を躍らせたのも記憶に新しいです。
その熱狂に従うように世の中の流れは一気に進み、生成AIはまたたくまに一般化しました。
今もまだ進化は続いており、エンジニアなどのIT業界にいる人は毎日のように入ってくる生成AIのニュースに成長の速さを感じていると思います。
しかし、この成長の速さに僕は違和感を覚えます。もちろん世間への一般化の速度は尋常じゃなかったですが、それは生成AIの成長の速さとは違います。
世の大半の人はChatGPTが出た時と同じようにブラウザからChatGPTに話しかけてやり取りをしています。
MCPのおかげで、資料が作れるようになりましたが、MCP以前から資料を作ることは可能でしたし、そこの進歩は世の大半の人にとっては曖昧です。
最近のテレビって便利だなーみたいな感覚で、テレビの衝撃に比べたら便利になったレベルの感想です。
反してIT業界はどうでしょう。これからはループエンジニアだ、A2Aだ、AIエージェントオーケストレーションだの、バズワードが飛び交っています。
我々はそれを聞くたびに、自分達の感覚以上に進んでいるAIの進歩を感じます。
このIT業界と一般人とのギャップに違和感がありました。
この正体はなんだろうと考えたとき、それは生成AIが工業的になっているのが原因なんじゃないかということを思いました。
今、もっとも生成AIの市場がでかいのはエンジニアだと思います。AnthropicのClaude Codeに代表されるコーディングエージェントは今じゃ多くのエンジニアが使っており、一日中使っている人も少なくないです。
コーディングというのは入力も出力もでかく、使用する時間も長いため、必然的にモデルの使用者の中でもパワーユーザとなります。
なのでエンジニアはモデルやツールの企業に多くのお金を落とします。
そのため、無課金や少額しか使わない非エンジニアの一般ユーザよりも、よっぽど商売相手としてよく、多くの企業がコーディングエージェントやコーディング支援のAIツールを生み出しているのは理に適っています。
そして、これが工業的になっている原因だと思うのです。先に挙げた、ループエンジニアもA2AもAIエージェントオーケストレーションも、コーディングエージェントという文脈ではとても重要な概念です。
しかし、他の文脈ではまだまだ必要ない概念です。
他にも様々な進化が続いていますが、どれもエンジニアの文脈に寄ってきています。
モデルを作る企業もパワーユーザのエンジニア向けのチューニングをするようになってきており、最近はサイバーセキュリティの強さを売りにするケースが増えてきているのもその例です。
これまでは生成AIの進化を汎用AIの進化と捉え、未来を楽しみにしていました。
しかし、汎用AIではなく工業AIとして進化していってしまっていることに気付き悲しくなりました。
この流れは変わらないでしょう。開発もランニングコストもお金がかかる以上、マネタイズしやすい方に進んでいくのは仕方がありません。
それでも、IT業界だけ必死に周りを見ながら走っていかないといけない感じは息苦しいなって思ったりします。